課長さんはイジワル2

うなだれながら壁に寄り掛かって座っている安田がポツリポツリと話し出す。


「俺は……杉原さんに告白するまでに半年も掛かったんだ。

なるべく、さり気なさを装って。

すごく必死に、真剣に考えて……。

杉原さんが俺の初商いのこと『おめでとう』って言ってくれたあの日の夜は、メチャクチャ嬉しくて寝れなくて……。

俺は……その言葉を宝物みたいに思って返事をずっと待ってて……。

それを……さっきから、君は俺のこと卑怯とか……ひどいとか……」


「やす……だ……」


「嫌味のひとつやふたつでも言いたくなるよ。俺はそんなに人間が出来てないから」



安田がゆらりと立ち上がる。