課長さんはイジワル2


ノリのおばあちゃんが亡くなって……

6,000万円もの治療費がどこから出てきて……

ああ……

もう……

ダメ……


かなり混乱してるっぽい。

完全にオーバーキャパシティ。




「…………」

「……何かあったとね?愛?」


涙を堪え、震えている私の手から奥田さんが携帯をそっと外す。


「電話、俺が変わろう。もしもし。

お義母さんですか?巧です。

今、丁度、NYの方に来ていて……はい……はい……」


奥田さんが携帯を持ち話しながら、なんとかうまくこの場を取り繕ってくれた。


その優しさに涙が溢れてきてしまう。


奥田さんは話し終えて電話を切ると、そんな私にそっとハンカチを渡してくれる。


「あ……ありがとうございます」


ハンカチを手にしようと手を伸ばした時、隣の部屋でガターンと何かが倒れた音にはっとする。


奥田さんと私は、一瞬顔を見合わせると、急いで隣の部屋へと向かい、ドアを開ける。


「課長!」

「佐久間!」


床に倒れこんでいる課長のもとへと急いで駆け寄る。




< 426 / 522 >

この作品をシェア

pagetop