課長さんはイジワル2

第3節 陽の当たる道

飛行機に乗り、日付変更線を超え、新幹線と在来線を乗り継いで6年振りに太っ腹町の地に降り立つ。



見渡す限りののどかな田園風景。



遠くの山肌を雲が影を落としながらゆったりと動いていく。




何も変わってない。

6年前のあの頃と。




こじんまりとした花屋で小さな花束を買い、タクシーを拾う。


真っ先に向かったのはあの事故現場。


事故らしい事故や、事件らしい事件が起こったことがなかった太っ腹町で起きた惨劇。



村人総出のノリのお葬式の中……。

ボケていたはずのノリのおばぁちゃんは、大声を挙げてノリの亡骸にすがり付いておんおん泣いてたと後でかぁちゃんたちから聞いた。



あの日の事故を境に私の人生はガラリと変わった……。






当時のことを思い出し、はぁっ~と深いため息をつきながらタクシーの車窓から田んぼの風景がところどころ色合いを変えながら過ぎていくのを、ただぼんやりと眺める。


「……ホント、相変わらず何にもない」


昔はこの町があまり好きじゃなかった。


刺激がないこの町が。



だから、私はいつかこの町を出て行くんだって……

ここは私がいるところじゃないって、ヒップホップばかりしてアグレッシブに生きていたっけ……。



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