課長さんはイジワル2
再び課長が構える。

「課長、見送るつもりだ。3球目の勝負にかけてる」

私の呟きに安田が驚いて振り向く。


「まさか!」


2球目、ドストライク。


課長、見送る。


やっぱりね。


「すごいね、杉原さん。佐久間課長のこと、よく知ってるんだね」

安田の言葉に、「そりゃ、半年もそばにいればね」と軽く返す。

「ふ〜ん。そういうもんかなぁ?」


「そうだ!安田、大商いおめでとう。なかなか言う機会がなくてごめん」


「え?あ、うん。ありがとう……。杉原さんに言われると……うれしいな」


安田が照れたように帽子のつばを引き、深く被る。


バッターボックスの課長が構える。


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