Snow Noise


〈越後湯沢から浦佐駅間で発生した車両故障の影響で、上越新幹線は運転を見合わせていましたが、7時5分頃、約2時間ぶりに運転を再開しました〉



越後湯沢、―――。



璃奈の故郷だ。

いつか一緒に行こうね。

そんな約束も、果たしてやれなかったな。


このアナウンサーの声は、璃奈に似ている。

声が似てるってことは、骨格が似てるのかな。

雰囲気は全然違うのに、たまに璃奈が話してるような錯覚に陥るんだ。

恥ずかしくて璃奈には言えなかったけど、大学やバイトのシフトで璃奈に会えない日には、この放送局にチャンネルを合わせて寂しさを紛らせてたっけ。


「…なあ、―――」


遮光カーテンに遮られ、光すら届かないこの部屋で。


「返事、してくれよ……」


そばに璃奈がいるような気がして、俺は独り言ち泣きそうになった。





「ずっと俺のそばにいてくれるんだよな?」


< 25 / 26 >

この作品をシェア

pagetop