2人だけの秘密。
あたしがそう言いながらおもちゃ箱を漁る隣で、ミキちゃんは尚もお絵かきを続ける。
けど、何度探したってその中には無いらしく、どうしても見つからない。
あたしはおもちゃ箱の中を諦めると、昼間以降の自分の行動を辿ってみた。
…指輪を最後に見たのは、お昼頃に近所のスーパーに行って、会計をしている最中だった。
財布からお金を取り出す際に指輪をしているのは目に入ったから、間違いない。
で、その後は真っ直ぐ家に帰って掃除したり、寝室のベッドシーツを替えたり、お風呂掃除をしたりして………あ、お風呂!!
あたしはその記憶を思い出すと、直ぐ様お風呂場に繋がる脱衣場に向かった。
思い出した。
お風呂掃除をする時に、一旦指輪を外して洗面所に置いたんだった。
何だぁ…外した記憶は無かったつもりだったけど、完全に無意識だったな。
そう思いながら、あたしはダッシュで脱衣場に駆け寄り、取り敢えずノックをする。
…今は修史さんがお風呂中だ。
だけどもう上がっているらしく、ノックをした直後に中から声が聞こえた。
その声に早速中に入ると、上半身だけ服を着ていない修史さんがそこにいて…
「…あれ、どしたの」
「んんー…ちょっと探し物」
結婚してもなかなか慣れないその姿に、あたしは直視できずに洗面所で指輪を探し出す。
確かここに…、
そう思って、あたしは置いた覚えのあるところに目を遣るけれど…
「……無い。え、無い?」
何故か、それでも指輪の姿はなかった。
何でよ!絶対ここだと思ったのに!
そう思いながら、それでも床に落ちてないか調べていると…そんなあたしの姿を見た修史さんが不思議そうに言った。
「…何探してんの?」