2人だけの秘密。

「!?…ひゃっ、」


次の瞬間。

あたしは突然、修史さんに抱き寄せられて、半ば無理矢理エプロンのポケットの中にそのまま手を突っ込まれた。

いきなりのことでビックリしたのと意味がわからないのとで思わず変な声が出てしまうけれど、気がつくと修史さんは、あたしの目の前にあるものを見せて言う。


「…これなーんだ?」

「!!…あ、結婚指輪っ!何で!?」

「せいかーい。よかったね見つかって。まさに灯台元暮らしだ、」


修史さんはそう言うと、可笑しそうにあたしに向かって笑って見せる。

いきなりエプロンのポケットの中に手を突っ込まれて、何をされるのかと思えば、まさかお目当ての物か出てくるなんて。

どうして在処を知ってるのかと修史さんに聞けば、夕飯に使った食器を片付けるのに、あたしが一旦指輪を外してポケットの中に入れていたのを見たからだとか。


…何だか恥ずかしい。


あたしが何も言えないでいると、修史さんがふいに悪戯にあたしを抱きしめてきた。





【指輪の行方/おまけ④】





(…ところで、ポケットの中にあるの知ってるなら口で言ってくれればいいのに)
(なんか急に抱きしめたくなって。あ、これから一緒にまたお風呂入る?)
(やだ)
< 251 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop