2人だけの秘密。


その言葉に、もうこれ以上何も言えなくなる。

あたしが黙っていたら、広喜くんは、



「…じゃあ、また今度な」



そう言って、一方的に電話を切った。

その直後は電話の向こうから機械音が聞こえてきて、あたしも静かに電話を切る。

広喜くんとはもう、別れた方がいいのかもしれない。

自分でもなんとなくそう思う。


だけど…


それでも広喜くんのことが大好きで、

ずっと一緒にいたいと思ってしまう自分がいる。

広喜くんがあたしのことを好きじゃなくてもいい。

それでもこの繋がりを無くしたくない。


あたしはそう思うと、辛くて独り涙を流した。



******



翌日。

いつも通り仕事に行くと、あたしは更衣室に入って制服に着替えた。

ちなみに今日は早番で、閉店前には帰れる。

制服に着替えたあとは掃除をしに売り場に行くと、その入口で柳瀬店長とバッタリ出会してしまった。



「!!」


< 36 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop