2人だけの秘密。
「…!!」
え、逃げ…?
あたしがその言葉にきょとん、としていると、柳瀬店長があたしをその場から強引に起き上がらせた。
「?…おい、どうした…」
そして、柳瀬店長の急な行動に周りにいる広喜くん達もそう言って頭上に?を浮かべる。
そうかと思えば、柳瀬店長があたしの腕をぐっと掴んで…
「鏡子、走るよ!」
「!」
そう言って、あたしを連れて一目散に部屋を出た。
「くそっ…逃がすな!」
思いもよらぬ柳瀬店長の行動に広喜くん達は一瞬止めたりしなかったけど、
あたし達が部屋を出た直後に、うしろからそんな広喜くんの声が聞こえた。
その声に、あたしは柳瀬店長の後ろで、不安を抱きながら一生懸命走る。
…追い付かれたらどうしよう。
そんな不安ばかりを覚えていたら、柳瀬店長がちょうどそこに来ていたエレベーターに乗り込んだ。
直ぐに一階に下りるボタンを押すと、ドアが閉まって二人きりになる。
ひとまずは安心したけれど、もしものことを考えるとやっぱりコワイ。
でも、そんなことを考えて震えていたら…
「!」
ふいに柳瀬店長が、あたしの手を何も言わずに優しく握ってくれた。