【完】狂犬チワワ的彼氏


「!」



いきなりそんなことを言い出すもんだから、言われたあたしは思わず目をぱちくりさせて、その後…



「っ、嫌いになんかなるわけないじゃん!」

「…なんだぁ、つまんねぇ」



はっきりと、そう言う。



「大丈夫!あたしは、何があっても拓海くんのことが大好きだから、」



そしてそう言葉を続けるも、また直樹が言った。



「じゃあ仲直りして来いよ」

「それは無理っす」

「…」



だけどあたしがそう言って気晴らしに本を開くと、直樹は「相変わらず頑固だな」って呟いた。


…だって、仕方ないじゃない。

あんなにはっきりばっさり怒っておいて、あたしは悪くないのに(たぶん)今更「やっぱりごめんね」なんて、情けないにもほどがある。

拓海くんが謝ってくれたら、喜んで仲直りするけど…。


今は、どうしたって自分からは行けないよ…。




…………




その後、午後の授業が全て終わると、あたしは直樹と一緒に家に帰った。

生徒玄関でなんとなくキョロキョロしていたら、「すげー気になってんじゃん」なんて直樹に言われたりして…

だけど、それでも頑なに否定して学校を出ると、あたしは直樹と並んでマンションへと向かう。


でも…



< 267 / 315 >

この作品をシェア

pagetop