救済をこの手に

後悔

―アレからどれだけ戦い続けたのだろう?
私は何故戦い続けるのだろうか。
何故…此処に居るのだろうか。
考える必要も無い。
あの時の…あの幼き日の「誓い」。
アレが間違いの始まりだったのかも知れない。
何もなかった。
故に、他人の願いに憧れた。
届く筈の無い理想を夢見てしまった。
辿り着いた今なら分かる。
あの時
あの男が
どんな気持ちで
あの言葉を口にしたのかを…
成れる筈も無い。
全てを救う正義の味方。
10の人間を救う為に
1人の悪を討つ。
その時点で破綻している。
100を救う為
10を棄てる。
オレは憧れ…
…諦めた。
心を殺し
救いを求める者を多く救う為
英雄と呼ばれる存在にもなった。
ひたすらに救いの為に悪を殺し…
気がつけば自分自身が
恐れられる悪となっていた。
憎むべき
葬るべき筈の悪。
どうして私は此処に辿り着いたのだろう。
死して尚も世界の抑止力となり
多くの者を葬る為に力を振るい世界を救う。
そんな存在に成って迄オレが…
私が叶えたかったモノはなんだろう。
気がつけば心は擦り切れ
叶えたかった筈の願いは
かつての誓いの言葉は
呪いの言葉と変わっていた。
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