domino
 あの声が急に聞こえてきた。その通りに従い後ろを向くと、吉原先輩が何か困っている様子だった。吉原先輩は、気の良い先輩で僕を何かと面倒見てくれたいい人だった。
 「先輩、どうかしたんですか?」
 先輩は周りの様子を伺ってから僕に耳打ちした。
 「実はさ、今日、俺デートなんだよ。」
 「なのに、この間、和田さん大ポカやらかして降格になっただろ。その代わりって事で、俺がトランスライダーの担当になったんだけど・・・。」
 「あそこの社長がさ、急に来いって言うんだよ。」
 後半は半分涙声になっていた。
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