domino
 また、あの声が聞こえてきた。
 このままでいるくらいならあの声に従った方がいいと思った。そんな開き直りが、僕を今までにない毅然とした態度にさせた。
 「和田課長。今、クライアントに電話して事情を説明します。それでよろしいですか?」
課長の罵倒を遮って、意見を言うなんて今までなかった事だ。あまりの事に課長もどうして良いかわからなくなっているようだった。
 「あ、あぁ、そうしてくれ。」
 それまでの野太い声が嘘のように、半分、声が裏返って僕に返事をしてきた。
 その一部始終を見ていた同じ部署の社員も皆あっけに取られていた。
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