TEARS【~君色涙~】

告白…そして涙

あれから4ヶ月が過ぎた。

隼人とは付かず離れずといった良い関係を保てているような気がする。

ただ決してヨリを戻したというわけではなく、お互い良き友達、良き理解者として…ごくごくたまに学校ですれ違えば言葉を交わす程度。

ラインすらほとんどしていない。


“傍に居さして”


たしか去年の秋頃、隼人からそう言ってもらえて嬉しかったものの、実際問題いつも一緒にいるという意味ではなく…

あの言葉は隼人にとって、別れて気まずくなってしまった私たちの関係を修復してくれるキッカケの一つだったんだと思う。


隼人のことが好きな藤原さんには、会うたび睨まれるけど……


それでも隼人と無事和解できて、しかもまた1年の頃のように話せるようになれただけでも充分だと思った。


…それに比べて、広瀬先輩とは相変わらず何も変わっていない。


冬に入って、きっと受験で忙しいであろう先輩のことを考えたら、告白なんて到底出来なかった。

またそんな言い訳をして、つい二の足を踏んでいたら、
3学期にはもう、三年生はほぼ登校しなくなってしまって

告白はおろか…先輩の姿を見かけることすら、めっきりなくなってしまった。


…風の噂で、広瀬先輩が北高校を受験して合格したことをこないだ初めて耳にした。


高校のある場所をそれとなく調べてみたら、ここから自転車でもなんとか行けそうな距離。


これならきっと先輩は遠くへは引っ越さない。


どこかできっとまた、会えるはず。


でも…


そこまで思いかけて、私はふと壁のカレンダーに目をやった。



カレンダーには、3月の文字。


私にとって1年の中で一番特別な月でもあり、20の付く日には赤い印まで付けておいた。



「……」



この日は…私の誕生日。


同時に、3年生の卒業式を迎える日でもある。
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