ピアノを弾く黒猫







よく見れば、良い顔をしていた。




艶のあるあたしと同じ黒髪。

睫毛の長い二重の瞳。

日本人にしては高めの鼻。

丁度良い厚さの唇。

全体的に顔立ちが整っていて…イケメン、とでも言おうか。

服は全体的に黒を基調にしていて、体躯はしなやか。

…黒猫、みたい。





「優子さん?」

「な、何よ」

「俺の顔、何かついてます?」

「いえ、何も。
…ともかく、金輪際あたしに近づかないで。
良いわね?」




何も言わずに、肩を落とすソイツ。




「今度ストーカーしたら、警察に突き出すから。
脅しじゃないから、覚悟しなさい」

「…………」

「返事は?」

「……ハイ」




溜息をつきながら返事をするソイツ。




「なら早く帰りなさい。
気を付けて帰るのよ」

「優子さん、優しいですよね。
優子って名前、凄く似合っています」

「早く帰りなさいッ!」

「は、はい!」





一目散に帰っていくソイツ。

名前聞きそびれたけど。

別に関わりのない相手だから、良いわ。








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