ピアノを弾く黒猫







「アイツは優ちゃんの笑顔を独り占めしてしまう。
何で…何でだ。
優ちゃんは、僕の…僕だけの優ちゃんなのにね。
優ちゃんもそう思うだろう?」




いつも穏やかな生島くんだけど、今日は違う。

瞳は憎しみに溢れていて、体中が震えている。

黒田くんに、殺意に近い怒りを感じているんだ。





「西條さんが優ちゃんがいないことに気が付いているみたいなんだ。
優ちゃんどこに行ったか、僕にメールで聞いてきているからね。
きっとアイツに情報が行くのも、早いだろうな…」

「由香……?」




どうして黒田くんに情報が行くのが早いの?




「優ちゃん知らなかったの?
西條さんの妹さんは、アイツの末の妹と同じ保育園に通っているはずだよ。
西條さん、アイツのこと知っていたからね」




由香の妹が、黒田くんの妹と同じ保育園?

由香に妹がいるのは知っていたし会ったこともあるけど、黒田くんにも妹がいたなんて。

しかも末の妹っていう所を見ると、黒田くんは他にもきょうだいがいるのかな?





「きっとアイツは優ちゃんを僕から引き離しにやってくる。
駄目だ…駄目だ駄目だ駄目だ!
優ちゃんは僕の優ちゃんなんだから、アイツに渡すわけにはいかない!」



生島くんは自分の髪の毛を両手でぐしゃぐしゃにする。




生島くん…あたしのこと好きだったの?

だから黒田くんに嫉妬しているの……?







< 56 / 76 >

この作品をシェア

pagetop