満たされない心〜貴方が満たしてくれた〜

前進


カウンセリングの日


私と康太は翔平さんに教えてもらった住所に行く

マンション……


「マンションの一部屋で開業か…」


少し緊張していた私に
そっと手を繋いでくれる康太


『……大丈夫だから』


マンションの一部屋

インターホンを鳴らすと
女性らしき声で出る


『今日は、予約していました前島です』


「お待ちしてました、どうぞ」


中に入り、待合室であろうソファに座って待っていると
白衣を着た男性が現れた


「前島結衣さんですね、……隣の方は?」


『はい……あ、婚約者です』


そう言うとにこやかな顔をする


「初めまして、加藤晃です」

「始めに言っときますが、あなたがもっている過去を吐き出すことになりますので、婚約者さんにも知られたくない過去や聞いて欲しくないのであれば、席を外して頂くことをお勧めします」


『……はい、大丈夫です。私が抱えてるモノも彼は知ってますから……』


そう言うと彼はまたにこやかな表情をする


「前島さん、こちらへどうぞ…」
「婚約者さんは、こちらでお待ちください……モニターがありますので、そちらで……」

「前島さん、これを全部飲んでね」

そう言われて出されたのはハーブティ
私はハーブティを一気に飲む

別室へ行きソファに座ると
少し目が霞んでくる


あれ、なんだろ……
そう思った時には遅かった
意識をなくしてしまったんだ。
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