Love nest~盲愛~


朝から豪華すぎる朝食を口にして、その後は広大な庭にあるハーブ園を散策。

そこでも美味しいケーキと紅茶を頂いて、お昼までの空き時間は書庫のような部屋で過ごした。

元々書物を読む事が好きだった私は、時間も忘れて読み耽ったほど。


その翌日もそのまた翌日も美味しいお料理を堪能し、美しい花々を愛でたり、すっかりお気に入りと化した書庫で過ごすようになっていた。

だって、それ以外にする事が無かったから。


彼から何か指示があるのかと思えば、何1つ無いと言う。

“好きなようにさせてやれ”と言い残しただけで。


好きなようにと言われても、家から外出する事は出来ないと言う。

まるで、籠の中の鳥のように。

ううん、違う。

まさに、籠の中の鳥なんだ。

彼に24時間365日を買われた身。

私に選択肢など無い。


与えられた部屋、食事に服に靴に………何一つケチをつける所が無い。

それどころか、お姫様のような生活をさせて貰えているのに、何も要求して来ない上、文句を言うどころか、感謝すべきと言っても過言じゃない。



彼との『契約』を除いては……。



けれどそれも、あるモノを目にする度に安易に削がれてゆく。


彼が直接私に与えた『アンクレット』

彼から離れないと誓った身。

取り外す事は容易いけれど、私は敢えてそれをしなかった。

ここから逃げる事が出来ないのに、現実逃避したいと思考が働くのが嫌だった。

現実を受け入れ、今自分に出来る事を全力で頑張ると決めたのだから。



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