あたしはそっと月になる
「潤~~!」



休み時間、隣のクラスの実夕が、



ドア越しに顔を出して名前を呼ぶ。



「ん??何?なんか用?」



そう言って、少し面倒くさそうに席を立つ矢口潤。



教室にいた何人かの男子は、可愛い実夕の登場に喜んでいる。



あたしはそれすら気づかないふりをして、友達とおしゃべりしてた。



でも、こんな時、あたしの本当の気持ちは泣きたいくらい複雑で、



実夕と矢口潤の事が気になってしかたないのに、



こんな風に平然としていられるあたし。



どうしてかな??



本当はね、心の中のあたしは叫んでる。



実夕‥‥お願い‥‥やめて。



とらないで。



あたしの想いも、



矢口潤の気持ちも、



とらないで。



持っていかないで‥‥って、



こんなにあたしの気持ちは叫んでいるのに‥‥。







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