[短編]初恋を終わらせる日。




「幸せなわけないでしょ」




恐る恐る尋ねた言葉は、鋭い視線と言葉に切り捨てられた。




「だったら、こんなことやめようよ…っ」


「ーーなら、美沙ちゃんは幸せなの?」




その質問に返す言葉は、何も浮かばなかった。


初恋は叶わない。

そんなありきたりな台詞で片付けられるような想いじゃなかった。

そんな簡単な恋じゃなかった。

そんな風に割り切れる結末なんて待ってなかった。


今まで見てきた優也くんは、全て嘘だったんじゃないか。

そう思えるような声だった。台詞だった。


……そんな私は、今、幸せ?

こんな状況で幸せだと強がれるほど、強くない。


本当は今からでもここから走り去って、泣きたい。

涙が枯れるほど泣いて、泣き疲れて眠って、そのまま忘れ去りたい。


だけどそれをしないのは、出来ないのは。



ーー " 美沙 "

苦しそうな顔をして私の名前を呼ぶ天谷が頭から離れないから。


せめて、天谷は守りたいの。






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