yellow ribbon
振り向いた夏樹くんの顔はとても驚いていた。
そりゃそうだ。
知りもしない女に大きな声で呼びかけられたら誰でも驚く。
「か、傘忘れたの?」
「…え、」
「空見てたから、無いのかなって思って!」
「あー…うん、忘れた」
気まずそうにそう返ってきた。
だけど私はほっと安心した。
誰かを待ってたとかじゃなさそうで良かった。
もしそうだったら気まずさ倍増だ。
「あ、あの、良かったら入ってく?」
「…え」
「覚えてないかもしれないけど!しょ、小学校の時…送ってもらったから、私もって思って…よ、余計なお世話だったらごめん…」
何言ってんの私!何言ってんの私!!
恥ずかしすぎるあまりに小学校の時のことなんて持ち出して!
ほら、固まってるじゃん!
気まずすぎて逃げ出したい…!