上司に秘密を握られちゃいました。

偵察デート


「まずい」


次の朝。
枕元のスマホを確認して、飛び起きた。

目覚ましをかけていたのに、しっかり止めてある。
寝すぎてしまったようだ。


真山さんが十一時と言っていたのに、もう十時。
デパートでは、福袋の争奪戦が始まる時間だ。


慌てて顔を洗い、クローゼットを開く。
どうしよう、なにを着ていけばいいのだろう。


デパートで働き始めたばかりの私は、いつも上質なスーツを着ている真山さんとは違い、たいして上品な洋服を持っているわけではない。

だけど、今更、取り繕っても仕方がない。

しばらく悩んで、ツイードの膝丈フレアスカートと、白のタートルセーターにした。
これに、Aラインのダウンコートを羽織れば、寒さ対策もOKなはず。


ランチに誘われているのだから、こんな時間に朝ごはんを食べるというわけにもいかず、またデザート重に手を伸ばした。


「これをひとり占めできるなんて、ほんと贅沢」


今度は、ずっと気になっていた抹茶シフォンに手を伸ばした。

この調子で食べていたら、太ってしまいそうだ。

だけど、どれもおいしくて幸せな気分に浸ることができた。
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