上司に秘密を握られちゃいました。

こんなに真山さんに近づけるのは、奇跡的だと思う。
まさか、家にまでお邪魔できるとは。

ドキドキしっぱなしの気持ちを落ち着けるために、大きく深呼吸してから福袋を開ける。

まずは衣料品。

大きくて紙袋にパンパンに詰まっていた中身は……。


「あっ、ダウンだ」


これだけで一万円の元は取れそうな、ロング丈の白いダウンコート。


「このセーター、使えそう」


今度目に入ったのは、黒いタートルネックのセーター。
シンプルなセーターは、使いまわしができそうで、ポイントが高い。

あとは……。


「やっぱりダウンか」


真山さんがコーヒーを持って入ってきた。


「すみません。ありがとうございます」

「いえいえ。お砂糖とミルクいる?」

「いえ、大丈夫です」


真山さんからコーヒーを受け取ると、冷えた手をカップで温めた。
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