上司に秘密を握られちゃいました。

「おはようございます」


大きな声で挨拶をしながら営業本部に入ると「おはよ」と公孝さんが笑ってくれた。

制服ファッションショーの企画は着々と進んでいる。
公孝さんは間近にせまった駅弁フェアの方にかかりっきりになって、ファッションショーの大部分は私に任せられた。


「真山さん、モデルの件ですが、そろそろ募集かけないと……」

「そうだったね」

「あの、私も出してもいいですか?」


一瞬間が開いたのち、彼は口を開いた。


「もちろんだよ」


前に聞かれたときは、『どうしようか迷ってます』と答えておいたからか、少し驚いた様子。

それに、おそらく受付の人に、ケーキを台無しにされたのだと知っている彼が、驚くのは無理もない。
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