上司に秘密を握られちゃいました。
美晴は彼氏がアパレルの仕事をしていることもあって、婦人服を希望しているようだった。
新入社員の配属とともに、正式な配属先が決まる。
そして、私も……。
「本当に本部を出るの?」
「うん。私、受付したいんだ」
副社長には、公孝さんを通じて本部を出ると伝えてある。
あっさり私がそう決断を下したことで、副社長はなにも言えなくなった。
まさかクビにはできない。
いくらかわいい娘のためとはいえ、そんなことをしたら、それこそ職権乱用で自分のクビが危うい。
「でも、受付って……」
美晴が驚くのも無理はない。
私に嫌がらせをしているのは、受付の人たちだから。
「うん。でも、やりたいの」
私だって考えた。
だけど、私の小さな頃からの夢を、あの人たちに壊す権利なんてない。
あの人たちのために、自分の夢を捨てる必要なんてない。