上司に秘密を握られちゃいました。

結局、なんとか就職できた文具メーカーで、一年半ほど事務をしていた。

ひたすら売上と在庫の調整をする毎日は、自分に合った仕事だとは思えなかったけど、仕方がない。


そんな時、中学時代からの友人の敬子(けいこ)が、久しぶりに私に電話をかけてきた。
彼女はアパレルの会社でバイヤーをしている。


『藍華、久しぶり。まだ制服フェチは続いてるの?』


敬子の第一声は、そんな言葉だった。

だけど、確かに東郷百貨店の制服への憧れから始まった"制服フェチ"の私は、なんとも言いかえすことができない。


「続いてるよ。
今の会社の制服、もう二十年も同じなんだって。
もうちょっとかわいいのにしてほしいな」


紺のタイトスカートに、紺のベスト。
白いシャツは自由だけど、リボンもなければネクタイもスカーフもない。

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