夏服を収める頃には
台 本
「次に驚いたのは以前に住んでいた県
と違い、こちらの県は圧倒的に大都会
であるということです。

以前の町は、それはもうひどいものでした。

閉ざされたままのシャッター、放火されて
閉鎖された警察事務所、物乞いする幼子、
銃口をつきつける民兵。

つらく苦しい毎日でした」

「お前はパスポート持参で転校して
来たんか!」

「戦場ジャーナリトか!」

「隣の県だけ何故、そんなに
政情不安なんだよ!」

六組の男子三人が多少棒読みながらも
台本通りに叫んでいた。
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