夏服を収める頃には
青山亜子の標的
健と竹内の少し後ろを
青葉高校の英語教師である
青山亜子が歩いていた。

日本人の父とイギリス人の母
から生まれた亜子は幼い頃から
『かわいい女の子』と言われ続けた。

一重だがつぶらな瞳。
ライトブラウンの長い髪。
先が少しつんとした唇。

中学二年の頃からより女性らしく
なると一層異性の目が集まり、
亜子をより魅力的に変えたのだ。

初めての交際した相手は中学三年の
担任である美術教師であった。

何故か同級生に魅力を
感じられなかった亜子は
半年もの間、関係を続けた。

その教師はいつも亜子に
言っていた言葉があった。

「その瞳で見つめられ、
その唇で囁かれた男は全員、
恋の魔法にかかってしまうよ」

そんな関係も終わりは
あっけないものであった。

教師の自宅アパートから
国道に車を出した瞬間に
教師が運転する車が
人身事故を起こして、
警察と学校に関係が発覚して
しまった為だ。

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