夏服を収める頃には
魔 法
「うわあ、おしゃれですねえ。

さすが青山先生の部屋だ。

クールですねえ」

健は亜子の部屋を見回した。白を基調
としたシンプルなインテリアが
置かれた部屋に素直に感動していた。

初めて女性の部屋に入った健は先ほど
迄の緊張感がなくなってきたことに
気付いた。

お茶の一杯でも飲んで帰ろうと
決めたからである。

亜子はテーブルの上にバッグを置くと
冷蔵庫から麦茶を出して、コップに
注ぎ健の前に置いた。

「ちょっと、先生と呼ぶことは
禁止でしょ。

名前で呼んで、亜子って、ね」

「そんな無理ですよ、先生」

健はスチールラックにある固定電話の
留守電の明かりが点滅していることに
気付いた。

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