陽だまりのなかで

〜雨空のち曇り〜

少女は雨の中を傘も指さずに泣きながら走っていた。
交差点で信号を見るとそのまま青色なのに渡ろうとしていた。
その様子を見ていた一人の青年が慌てて飛び出して行った。
『何してんだよ！！死にたいのか！』
少女は青年の顔を睨み付けるように見上げて青年の腕から逃げようと力の限り暴れていた。
『うっさい！！私の命なんだからどう使おうが私の勝手でしょ！』
彼女の体が微かに震えてるのがわかった。
透けたワイシャツから見える腕には無数の傷跡がついていた。
「お前もしかして､､」
抵抗している手のひらまで赤い滴が流れ出ていた。
『もう、生きて､､いたく､､』
少女の声が小さくなって目の前で倒れた。
『あっ。お､､おい！』
青年は、慌ててスマホで救急車を呼び出した。