君をひたすら傷つけて
 アルベールは綺麗な顔に少しの緊張を滲ませていてモデルとして仕事をしている時は誰よりも輝きを放ちながらも、クールな印象が際立つのに今は不器用に笑う。

「緊張してる。見るなよ」

「いつもみんなに見られ慣れてるでしょ」

「雅は別」

「ふふふ」

 仕事の場でのアルベールはクールでスタイリッシュなイメージを崩さない。実際にブランドのイメージとして被写体は写真で見ると無機質だった。本当のアルベールはイメージと全く違う。一緒にいるといつも笑っているし、話しも面白い。その上、優しいから私はいつも甘えてしまうばかりだった。

 そんなアルベールが手を繋ぐだけで緊張の色を零すのが可笑しくもあり、嬉しくもあった。

「笑うなよ。勇気出したんだから。嫌なら放すけど」

「ううん。安心する」

 私の言葉にアルベールはホッと顔を緩ませてさっきよりも綺麗な笑顔を見せ、私の手を掴む手に力を込めた。今日はアルベールが友達のモデルから紹介して貰ったレストランでの食事をすることになっていた。

「さ、美味しいものを食べに行こう」

「アルベールって他のモデルとは違ってよく食べるよね。太らないの?」

「あんまり気にしたことはないかな。ただ、大きなコレクションがある時は筋トレはする。いくら服で隠れるとはいえ、シルエットが乱れる。デザイナーが作った世界を壊すわけにはいかない。と言っても、お腹が出るほど食べないけど」

 スラリとした体躯は鍛えられた部分もあるが、天性に恵まれているとも思った。
< 408 / 1,105 >

この作品をシェア

pagetop