君をひたすら傷つけて
「了解。任せといて。でも、もう一軒、寄りたい場所があるの。さっき、里桜ちゃんと化粧とか洗顔料とかシャンプーとか何を使っているか聞いたから、ドラックストアで買ってくる」

「そこは盲点だった。流石だな」

「いやいや。だって、メンズのシャンプーは使えないでしょ」

 タクシーでお兄ちゃんと一緒にドラックストアで買い物を手早くでした。本当はデパートで揃えたかったけど、今は使い慣れたもので揃える方がいいだろう。美容室で使うようなシャンプーは後から、プレゼントしよう。そう思いながら、買い物かごにどんどん入れていく。

 そんな私を見ながらお兄ちゃんは文句ひとつ言わずに里桜ちゃんの買い物の全ての荷物持ちをしてくれた。

「女は大変だな」

「そう、これくらい普通よ」

「俺のマンションに置いてある雅の物は少なくないか?」

「フランスは最低限の物で生活するものなの」

「そんなもんか?同じ女の子だし」

「里桜ちゃんは里桜ちゃん。私は私よ」

「そんなものか?」

 そういうとお兄ちゃんは複雑な表情を浮かべた。

 篠崎さんのマンションに行くと、私はまずゲストルームとクローゼットの中を確認した。さすが、篠崎さんのマンションだけあって、十分な広さがある。ベッドやチェストを運び込んだところで、狭さは感じないだろう。

 それはクローゼットも一緒だった。

 私は部屋の広さと生活のしやすさを考え、配置を決め、お兄ちゃんに言うと、お兄ちゃんから業者に適切に伝えられる。徐々に届く家具をお兄ちゃんは梱包を解き、部屋に配置していく。
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