イケメンすぎてドン引き!




「モモカ……」



目の前には吉野先輩。



そう囁き、あたしを熱いまなざしで見つめている。



斜めに分けられた前髪がかかりそうな、

セクシーなその瞳。


熱い吐息とともに発せられるイケメンボイス。



そ、そんなに見ないで。


体が、顔が、目の奥が、熱くて動けないよ……。



まるで、体が固い石になっていくみたい。

(ま、まさかメデューサ!?)



「俺さ、お前のこと……」


「先輩?」


「す……」



まさか、好き?


どくん! と心臓が跳ね上がる。



「すげー足臭いって思ってるんだよね。あークサイクサイ」


「はぁああ!?」



――がばっ!



あ、夢か……。



先輩とあたしは同じルートで、

同じ時間帯に登校しているらしく、


時々、あの石段付近で顔を合わせるようになってしまった。



よく考えたら、今までの人生の中で、あんなに格好良い人とお近づきになったことなかったな。


だからか、こんな夢見ちゃったのは。



イケメン効果、あな、おそろし。




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