とんだ勘違いから


お母さんにもわかってしまうぐらい私の顔はにやけていたんだろうか。


料理を一緒に作っている間もごきげんな私にいろいろ探りを入れてくる。


「何にもないよ!」まだ何もないからそれは本心。


お父さんも今日は一緒にご飯を食べていろんな話をした。


と言ってもお父さんの関心はお母さんが中心だからお母さんにデレデレ。


いつまでもこんな夫婦に憧れる。


「そういえば、この前仕事で安田と会ったんだ。

あそこの倅がそろそろ会社を継ぐみたいでな。


結婚相手を探していたけど、まことどうだろうって押しておいたぞ。」



安田さんはお父さんのお友達の会社の社長さん。

何度か息子の慶太郎さんとも話したことがあるけど彼には彼女さんがいたはず。

まさかそんな人が私と引っつけられるなんて思ってもいないだろうし、こっちだっけそんな気全くないから。



「いやだ、断っててよ。

私にはそんな気ないんだからね。」


「いや、でもまこともそろそろいい歳なんだし、恋愛してないんだったらこういう出会いもいいんじゃないかな。」




その時お母さんが中にはいって


「あなた、まこちゃんに任せましょうね。」


そう言うと


「お前がそう言うならな...」


とそれから話を変えてくれた。










自室に戻ってから、携帯を見る。



連絡先はお互いに仕事で使うから知ってるけど、この週末あんな事があったあとでも全く連絡がない。

まるでいつもの週末のようだから、本当に告白しあったのかって気になる。



明日になれば仕事に行くんだからそれは解決されるかな。

早く仕事に行きたいって、部長に会いたいって気持ちがこの週末にとっても大きくなっていった。
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