桜ノ華
「主って…」
それに苦笑で返すと、
啓志は満足そうで。
「いつからここに居るようになったんだ?」
「…一年の夏…だったかな。
教室に居るのも落ちつかなくてふらふらしてて、
そうだ外に出ようって思って、ここに辿りついたんです」
「ほら、主じゃないか」
「もう…」
自然と隣に寄り添うのも、
近い距離にもだいぶ慣れた。
それはもはや"当たり前"となって、
この逢瀬は桜にとって大切なものになっている。
啓志にとってもそうだといいと願う程度には、
想いが募りつつあった。