桜ノ華



どうせいつかは自分も、
容姿しか見ていない"どこぞの御曹司"とやらの嫁に行かされるのだろう。

もう高校3年生、18歳の誕生日も迎えた。

それは遠い話ではないかもしれない。

そう思うと、恋愛する気にもならなかった。

だがそんな桜にも、憧れの人がいた。


「南十字(みなみじゅうじ)様よ!!」


誰かの声に、皆が振り向く。

桜も例外ではない。


「…南十字様…」


桜の憧れの人、南十字 啓志(みなみじゅうじ けいじ)。

この成瀬川学園の生徒会長を務める男。

南十字財閥の次期当主という立場を約束されている。

眉目秀麗、文武両道。

何をやらせても完璧というパーフェクトさは、
ある意味桜の美しさと並び人間離れしていた。



< 3 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop