桜ノ華



「淡泊なように見えて意外と表情がころころ変わる。

見ていてとても面白い」

「もう…、私は玩具じゃありませんからね?」

「残念だが、俺は玩具を愛でたいと思うほどかわいくはないのでな」


威圧的な座り方。

どかりと腰を据えて長い脚を組み、肘掛けに肘をついて見下ろされている。

でもその表情はとろけるほど甘い笑みなのだから、
本当にずるい人だ。


「…私も…好きです。"完全無欠の王"らしくない、啓志さんが。

不器用で意外とすぐ拗ねて、いたずら好きな啓志さんが好きです」


ほとんど告白のような言葉。

だけどそれは、告白とはまた違う意味で啓志の心に響く。


「俺は、君の前でだけ素の自分でいられるんだ」







―この甘い時間を守りたかっただけ

それだけなのに



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