I'm crazy about you.



俺の身体に擦り寄ってくる七海の身体を抱き締め直して、髪を梳きながらそっと唇を寄せる。
多く言葉を交わさなくても、その温もりが近くにあるだけで、こんなにも心が穏やかになる事を実感する。


柔らかくて、ちょっと甘い香りのする身体に手を這わせると、すぐに身体に熱が篭る。
そんな自分に自嘲気味に笑みを浮かべて、もう一回、と七海に覆い被さった時。彼女の携帯が俺の行為を非難するようにメロディが鳴り響いた。



「ごめんね……んんっ…」

クスッと笑った七海の唇に卑猥な音を立ててキスをして、それだけで真っ赤になった七海の髪をクシャッと撫でて上から退いてやる。
昔は絶対にできなかった譲歩も、今は当たり前にしてやれる余裕ができた。って言っても、そんなのはこれが四度目だから、に他ならないんだけど。



「あ、京輔カバン…取ってもらってもいい?」
「ん?」
「それか、後ろ…向いてて…」

小さく告げられた言葉を一瞬考えて、カバンを取るのにベッドから下りなければいけないのだと気づいた。



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