小路に咲いた小さな花
「私は、手もガサガサだし、ネイルだってしたことない。お化粧だってしないもの」

「それのどこが重要?」

「重要だよ! 敬介は長続きしなかったじゃないか。綺麗で、キラキラしてて、細くて、可愛い人でも!」

手はガサガサ。

化粧品は基礎化粧のみ。

服装もお洒落でもない。

髪だって普段はポニーテールにしたまま。

女らしくないし、女の子っぽくもない。

付き合った事すら奇跡だと私は思えるよ!

「まぁ……付き合ってる彼女より、優先する幼馴染みがいたら、普通はフラれるだろう」

……ん?

「解ってないな。彩菜は」

「はい?」

「俺も、最近納得したばかりだけど」

おい。

「俺は納得したよ。男の影を見つける度に牽制して、なおかつ女らしい事には興味を出させないようにして、しかも、俺自身3年も女っ気なして過ごせたんだから」

「………………」

思わず敬介を振り返り、それから何故かどこか偉そうな苦笑を見て……

「さすがにその告白はどうなの……」

「だろう?」

ニヤリと笑われて、それから卵焼きをつまむと私の口の中に放り込まれる。

「だから、遅かれ早かれ結婚する。今後、どうなるのかは解らないが、自分達の気持ちがいわゆる“別れ”に向かうとも思えない」

「……前向き、だね」

「それに彩菜はやっぱり解ってない」

「何が?」

「俺はお洒落な店より商店街が好きだし。華やかに飾られた花より、道端の花の方が好きだよ」

「だって……何だかいろいろ……信じられなくて」

「諦めるんだね。と言うか諦めて」

ニッコリ微笑む敬介。

「じゃないと俺、ただのストーカーになっちゃうから」

「え? ストーカー?」

それって、どういう説得の仕方よ。

いや。説得でもないよね。

訳が解らないけど、これが敬介……なんだろうな。

ある意味、どれもこれも恐いくらいな告白で、かなり強引でもあるけれど。

納得して、受け入れてしまっている自分がいるのも確かで……

小さく笑うと、小さな微笑みが返ってきて。

それを見ながら、小さく頷いた。

「いいよ。結婚してあげる」

「うーわー。上から目線だ」

「だから結婚しよう、なんてプロポーズよりましだから」

「え。じゃ、仕切り直す? 言い方変えればいい?」

「……敬介くん」

「え。なに、その怒られそうな雰囲気」

「乙女心解ってないって言われない?」

「乙女心は解らないし、女心解ってないってよく言われる」

……真面目な顔をして、何を言うか。

ちょっと。

ううん、かなり。

将来が不安。

だけど……それもきっと幸せなんだと思える。

桜の花びらがハラハラ落ちるなか、微笑む彼の笑顔が好き。

それで、いいんだと思う。























fin
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