不幸ネット
 良かった……誰もいない。

 意を決して覗き込んだドアスコープの先。

 そこにはマンションの共有スペースが映るだけで、不審な人物の姿はなかった。

 とりあえず身の安全が確認できて、私はその場にへたりこんだ。

 もう、頭おかしくなりそうだよ……

 壁に背中を預けて私は天井を仰いだ。

 もともと感情に任せて書き込んだ例の掲示板。

 もう、気のせいだとか無関係だとかいう考えは私の中になかった。

 あの夜をきっかけに、何か不吉な事が身の回りで起こっている。

 私はそう確信していた。

 でも分からないのは、こんな事を一体誰がやっているのか。

 そもそも、呪いだなんて存在するのだろうか。

 もし仮にあのサイトが本物だったとして、書き込まれた人間は死ぬと言われているのに、なぜ上沼は今も生きている?

 それに、私ばかりがこんなにも酷い目に遭うのはどうしても納得がいかなかった。
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