幽霊とバステト
“両親”
「では汐梨様、次に行こうと思ってる所なんですが少々、汐梨様には苦痛を伴うかもしれません。」
「苦痛って美月でも結構辛かったんだけど…」
「次は汐梨様のお父様とお母様の所でございます。」
「確かにちょっと辛いなぁ…。」
「では、今度は少し時間を戻して汐梨様がまだ生きてる時間に戻ります。」
「えっ時間戻してって、私生きてるとっこって、大丈夫なの?」
「はち合わせなどを心配でしたら、大丈夫です。汐梨様にはわたくしと同じここから見ていただきますので…」
バステトを言う、こことは空のこと。
改めて言われると、幽霊なんだって思っちゃう!
「では、行きます!」
「ねぇバステト?」
「はい、なんでしょうか?」
「今戻ってるの?」
「はい、今少し時間戻してますよ。」
「普通に進んでるだけなんだけど?」
「なんです?タイムスリップみたいに、景色が動くとでも、思ったんですか?相変わらず……。」
「バステト!?なにが言いたいの!!」
「やめてください!!!」
私は思いっきりバステトの尻尾を掴んだ。
「あれ、これアザ?」
バステトの左側のお尻らへんというか、足の付け根というか、その場所にハゲのような、小さなアザがある。
いつも座っていて尻尾で隠れてて気づかなかった場所だ。
「あぁそれですか…最初からずっとあります。」
「なんか、ハートに見える…バステトにぴったり!」
「そうですか。初めて言われました。さっそろそろですよ。」
そう言われると私の住む団地が見えてきた。
「あっあれお母さん。」
下を見ると、両手に買い物袋を持ったお母さんが帰ってきたところだった。
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