ケンムンの森

第1章 神隠し

翌朝。
「佳文!!佳文!」
母の声で目が覚めた。時計を見ると朝の四時。こんな時間になんだってんだ。
「なんだよ!」俺は部屋のドアを開けた。
「浩君が家に帰ってきてないみたいなの!昨日は、浩君学校にきてた?」と母。
えっ!浩は帰ったかと思ってたのに。。そういえば昨日あれからメールしても返事が帰ってきてない。
浩、どこへいったんだ。
「佳文?どうしたの?何か知ってるの?」
俺は母を押し退けて
轟きの滝へと走った。どうしよう。まさかあの化け物にさらわれたのか?
俺、バカだ。浩は一人で逃げ出すようなやつじゃないって分かってたはずなのに。
どうしよう。俺のせいだ。浩。。
「はぁ、はぁ。ひろしぃぃ!」
滝に着いた俺は叫んだ。もちろん返事などない。俺の声だけが木霊する。
朝の滝は朝日を浴びてキラキラ綺麗で何事もなかったかのように流れている。
昨日の化け物がいるかもしれないと思うとゾッとするが、それどころではない。
「ひろし!どこにいるんだよ!」
俺は滝の周辺をくまなく探した。
滝の下に靴が片方落ちてた。
浩の靴だ。
まさか、溺れたとか。。まさか!
「佳文!」
後から声が聞こえた。
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