心見少年、音見少女。

『あー、あー、てすてす!間地 妃紅だ!お前ら!聞こえるか!?今、能力で頭の中に話しかけてる!時間ねーから一発でよく聞けよ!』

「わああああぁっ?!」

直接頭に響くように、間地先生の声が聞こえた。

『なんか、白衣着た研究者とか名乗ってる奴らが、またお前らを狙ってる!やっぱ、論土の能力使いながら今日は寮に帰れ!明日になったら出来るだけ遠くに逃げろ!藜、カゴメ、あとは年長のお前らに任せる!頼んだぞ!以上!』




「……」

全員が突然の指令に言葉を失い、呆然と立ち尽くす。

最初に口を開いたのは論土だった。

「―――じゃあ、指令通り取り敢えず今日は僕の能力で寮に帰りましょうか」

「せやな。佐月くんや那々たちも、初めての事態で怖がっとるやろうし、はよ帰るか。
あ、佐月くんは僕と同室やで。荷物はもう部屋に 置いとってあるさかい、安心しぃや」

水晶が、佐月の肩を優しく叩く。
 
「ねぇ、コノ姉、怖いの、来るの?」

「来るの?」

「の?」

三つ子が怯えて、近くにいた木花の制服の裾を握る。

「大丈夫だよ。私達が守ってあげるから」

木花は優しく守るように、三人を抱きしめた。
< 51 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop