心見少年、音見少女。

対する日和は『オトミ』で、音を読む優れた能力を持ち、『光』の覚醒能力を持つが、人と接するのが不得意で、怖い。自己防衛に必死で余裕がなくて、周りがあまり見えない。

佐月は過去に怖い思いをしていたのに、どうしてこうも自分とは正反対なんだろう。

「……私は、もしかしたら佐月に憧れてるのかもしれないな」

恋と憧れはよく似てる。

でも、『好き』になるのと『なりたい』と思うのはまた別物だ。

驚愕と緊張を間違えた次は、好意と羨望を間違えてしまったのだ。

だからこれは恋じゃない、恋なんかじゃない。

もっと良い人がいるかもしれないのに、伝説なんかで自分限定みたいにして欲しくない。

能力を持ってること以外は普通の男だ。きっと良い彼女が作れる。

つい数日前まで能力をひた隠して暮らしてた佐月を、これ以上危険な能力者の世界に引き込みたくない。

恐らく、オトミとココロミの伝説をここで終わらせ、離れるべきなんだろう。
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