溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「あのね、美山さん。カリビアン・セレブリティ・インターナショナルの幹部でもあり、今、初めて日本に停泊している『セレブリティ・ジェード・プリンセス』の船長でもあるブラフォード氏がわざわざ足を運んで下さるのよ? 彼みたいに忙しい人がこの会社に!」

別に私が褒められたわけでもないのに、凄く照れてしまうのはなんでだろう。
そんな彼に、毎晩愛を囁かれていると思ったら、胸がざわざわと熱くなってしまう。

「よく御存じですね。そんなに彼、忙しいんですね」
「前にイギリスのドキュメンタリー番組でインタビューされてたのを拝見したから覚えているわ。顔も性格も、彼はイケメンね。そして凄くフェミニスト」

「すごい。よくテレビだけで分かりましたね」


テレビでも彼は彼らしい振る舞いをしたのかと思うとちょっと笑ってしまう。

「あ、美山さん!」

突然、上司は歩くのを止めて後ろへ向きを変えた。
丁度、私の背後を見て、固まっている。


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