溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「わ、私の駄目は本当の駄目です!」

真っ赤な顔でそう怒鳴ると、ジェイドさんは舌を出して逃げだした。
本当に、――この人は。

「潜りこんで、何もしてこない紳士ですか? ジェイドさんは」

念の為、そう聞くと髪を乱暴に拭きながら笑う。

「俺は迷い込んだ赤ずきんちゃんを綺麗に食べる狼かな」
「さっさと寝てしまえ!」

恐ろしい。手を出してこない紳士なのはあの船長服を着ている時だけなのか。
何度か振り返りつつも、寝室へ入ってしまった。
やっと静かになったので、彼も本当に疲れていたのかもしれない。
私もお酒を今日は止めて、大人しく眠ってしまおうと立ち上がる。

明日は二人で寝坊するのも悪くないかな。
寝癖が付いているお互いの髪を笑い合って、それからのんびり朝か昼かも分からない朝食を取るの。

そんな本当の新婚カップルみたいに、なんて。





思いついたらすぐ行動!
ジェイドさんが眠る寝室へ向かう。
起きてたら、ゆっくり起きようと提案するし眠っていたら目ざましか携帯アラームを没収するつもりで。
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