溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

私がさっき言った言葉の意味が分からないまま、それでもジェイドさんなりに考えてくれたらしい。
優しい、やっぱりこの人は優しい。

「ので、その、盗み聞きするつもりは無かったが、つい聞いてしまって」
「え」
「ダイコンのハチミツツケ。あと、アマザケもあった」

サイドテーブルには、ガラスの瓶に入ったダイコンとハチミツ、そして甘酒が入ったカップが置いてあった。

「一晩置いてからお湯で割って飲むと良いらしいが、ナホは知っているから説明は大丈夫かな?」

「どうしたんですか? 大根とか、こんな豪華客船によくありましたね」

「――俺の自慢の船を甘く見てはいけない。手に入らないモノなんて何もないよ。2、3店舖尋ねたらすぐに見つけた」
「探してくれたんですね」

思わず顔が綻んだら、それまで少し得意げに話していたジェイドさんの顔が真っ赤に染まった。
まるで林檎のように真っ赤に。

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