大阪セカンドシンデレラ



じっと俯いたままカウンター席で2時間が経過した。


まだまだ店内にはお客様が一杯なのだが、何度席を立とうともゆかちゃんに気付かれ怒鳴られる。


時間が経てば経つ程、落ち着きを取り戻してきたのだが、手持無沙汰なので、何気なくゆかちゃんを眺めた。



「はいよ、醤油たこ焼きお待たせ!」



「いつもありがとな。」



「また来てや!」



1人でたこ焼きを焼いて、注文を取って、会計をして…。


常連客から初めて来たお客様まで差別なく接客している。


ゆかちゃんの仕事ぶりを意識して見るのって初めてだな…。


19歳のゆかちゃんは、中学卒業してからこの店を1人で切り盛りしている。


私がゆかちゃんと出会ったのは幼稚園の頃。


既に小学生だったゆかちゃんに毎日のように遊んでもらった。


さっぱりとした性格で、負けず嫌い。


私なんかとは正反対。


店の中を段取りよく切り盛りしているゆかちゃんを見ていると、少しずつ自分が情けなくなってきた。


私は泣き虫で人を頼る事しか出来ない。


甘えた人間だな…。



「どや?少しは落ち着いたか?」



店に招き入れてから、座ってろ、としか言わなかったゆかちゃんが声を掛けてきた。



「…うん。」



「もう少ししたら店落ち着いて来るかな。そしたら、なんぼでも話、聞いたる。」


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