大阪セカンドシンデレラ



声に驚いて、手を滑らせてしまった。


右斜め上方向一杯まで伸びてしまった真っ直ぐな線。


その線がまるで私の心電図を表してるかのように固まってしまった。



「美紀ちゃん。」



もう一度呼ばれて我に返る。


顔を見なくてもだれが声を掛けてくれたのか分かった。


分かったから見る事が出来なかった。


新太郎さんは私の隣に座ると、真っ直ぐに飛び出た線を見て笑った。



「急に声掛けたからだよね?ゴメン、邪魔するつもりはなかったんだけど。」



「…。」



どんな顔をして、どんな言葉を発して、どんな態度を取ればいいのか分からない。


頭の中で色々な感覚が混ざり合う。



「どうして…。」



「えっ?」



私はやっとの思いで顔を上げると、新太郎さんを見つめた。


いつも通りの優しい笑顔を向けてくれている。


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