怪盗ダイアモンド

★初仕事







「おはにゃんこおおおぉぉぉー!!!!」

夏並みに暑い、日曜日の午後一時五十五分、県立博物館の入り口の前。

暑さで頭がやられたのか、やたらテンションが高い亜希乃が手をぶんぶん振りながら走ってきた。

ちなみに、『おはにゃんこ』は私たち三人組の間で流行してる言葉で、『おはよう』➕『にゃんこ』という意味の造語。

「おはにゃんこー!あれ?阿弓は?一緒じゃないの?」

「ああ、あっちで電話してるよ。あいつ歩きスマホ嫌いだから、立ち止まって通話してんの」

「ほんとに阿弓は真面目なんだか馬鹿なんだかわかんないね……」

「それな~」

阿弓は、提出物や課題は忘れたり遅れたりするくせに、制服をきっちり着たり教室の掃除を積極的にやる。

やるのとやらないのの基準がわからない……

「は?だからそれはリーダーの方でやって……無理?甘えんな!たまには私に休み頂戴よ……えー?ユーリとかに頼めば?……もー、知らねぇ!あとは自分でどーにかしろ!」

溜息をついて通話を切る阿弓が見えてきた。

「阿弓ー!!おはにゃんこー!!」

「おーアゲハ嬢おはにゃんこー!」

「ねぇ、さっきの誰からの電話だったの?」

「あ、あー……親戚の子から。宿題が終わんないから助けてーって。毎度毎度私に頼むから、たまには自力でやれって言ってやったわ」

「ふーん」

なにはともかく、これで三人全員揃った。

「じゃ、このパス首にかけて。これかければ通れるから。
……よし、れっつごー!」



入り口の門をくぐろうとすると、短い着信音が鳴った。

やば、マナーモードにすんの忘れてた。

危ない危ない。

このボカロ曲の着メロは……母さんだ。

スマホの画面を確認すると、母さんからメールが来ていた。






件名:がんばれ

 ゴメーン、新月の日って今日だった
 (๑´ڡ`๑)テヘッッ♡

 昨晩私が怪盗ダイアモンドの名前で、深夜零時に盗むって予告状送っておいたから、警備が強くなってると思うわ

 頑張って(*´³`*) ♡

  元怪盗ルビーより❤


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